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しょみんせいかつ
庶民生活
豊島 与志雄
「改造」1952(昭和27)年5月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 10,353 字 · 21 页
わたしはまるで女中同様で、そして御自分はさんざんふしだらをしていらっしゃるじゃありませんかと、そんなことを言い出しましてね、ひどくおかんむりなんです。もっとも、わたしの方にもちょっと後ろ暗いことがあるにはありましたが、大したことじゃありません。とにかく、何か不平がある度に、内山さんをご覧なさい、内山さんをご覧なさいとくるんで、被害甚大ですよ。」
おばさんが、調理場から声をかけた。
「中村さん、そりゃあ、あんたの方が悪いんですよ。もっと奥さんを大事にしてあげなさい。こないだもわたしのところに来て、こぼしていましたよ。」
「然しあいつ生意気に、男女同権とかなんとか言い出すんですからね。わたしは断言しますが、女は男より劣ること数等で、食うことと眠ることと饒舌ること以外に、何の能がありますか。」
中村の話はそれから、次第に乱暴になってきて、まるで焼酎を相手に饒舌ってるかのようだった。
「あいつはいつも、着物を一揃いほしがっていましたが、わたしも不如意で、商売は左前、税金はかさむ、着物どころの騒ぎですかい。商売屋にぼろ洋服では不似合だと、わたしも知らないじゃありません。