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きゅうどうちゅうそでん

弓道中祖伝

国枝 史郎

「キング」1932(昭和7)年6月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 9,647 字 · 19 页

青空文庫

が団結し、何々党、何々組などと、そういう党名や組名をつけて、紳の館や富豪の屋敷へ、押借りや強請に出かけて行くことを、生活の方便とするようになった。

ここへ行く一団もそれであって、「あばら組」という組であり、頭目は自分で南朝の遺臣、しかも楠氏の一族の、恩地左近の後統である、恩地雉四郎であると称していたが、その点ばかりは疑わしかったが、剽悍の武士であることは、何らの疑いもないのであった。

この一団が傍若無人に、それほど夜も更けていないのに、京都の町をざわめきながら、小走りに走って行くのであった。

4

調度掛にかけてある弓箭を眺め、しばらく小首を傾けている、日置正次の耳へ大勢の人声が、裏庭の方から聞こえてきたのは、それから間もなくのことであった。

(はてな?)と正次は耳を澄ました。大勢の人間が裏門を押し開け、庭内へ入って来たようであった。

不意に呼びかける声が聞こえてきた。

「お約束の日限と刻限とがただ今到来いたしてござる。恩地雉四郎お迎えに参った。いざ姫君お越し下され。お厭とあらば判官殿手写の『養由基』をお譲り下されよ!」

濁みた兇暴の声であった。

すると書院の次の間から、――すなわち一ノ間から老人の声が、嘲笑うようにそれに答えた。