轻读日语

轻松读懂日语经典作品

ja-reading.com

轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。

かげのないはんにん

影のない犯人

坂口 安吾

「別冊小説新潮 第七巻第一二号」1953(昭和28)年9月15日

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 11,032 字 · 23 页

青空文庫

「だけどさア。要するに、彼らの心にあることを、アナタが云い当てたんじゃないかなア。ボクにだって、その実感がビリッときたですからね」

「よせよオ。キミが横から口をだしちゃいかんじゃないか。キミは退席しろよ」

「オブザーバアですよ。それに貞淑な良家のマダムと対座するのがアナタ一人というのは今日のこの混乱せる時代を背景とし、またこの変テコな雑居族を背景として、良識ある者は放置できないです」

「変なことを云うない。シリメツレツなのはキミじゃないか」

「ねえ、ママサン。この人はね。パンパン宿なんかの部屋に落ちた陰毛を拾いあつめて毛筆をつくってるんですよ。それでママサンの居間と寝室のゴミを毎日朝晩ボクに掃き集めてくれッて云うんですけど……」

「よせよ。ボクは旅先の旅館なんかの、と云ったんだ。パンパン宿なんて云いやしないよ。失礼じゃないか」

「アナタ、パンパン宿以外に泊ったことないでしょう。たとえば熱海。アナタ、どこへ泊った? 糸川しか知らないでしょう」

「よせッたら。キミは黙秘権というのを、やれよ」

「この際アベコベでしょう。アナタがそれをやるんですよ」

「うるせえなア。なんのために来たんだか、分らなくなッたじゃないか。