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まちぼうけぎかいふうけい
待呆け議会風景
宮本 百合子
「週刊朝日」1940(昭和15)年2月18日号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 6,980 字 · 14 页
議席も議長席も傍聴席と同じおだやかな藍灰色の天鵞絨ばりで、下は暗赤色の絨氈がしきつめられている。半円形に並べられている議席はまだ空虚で、一段高くしつらえられた議長席のヨーロッパ風な背高椅子や、そのすこし下の左右に翼をはっている大臣席など出場を待たせる雰囲気を醸しながらステインド・グラスの格天井からさして来る曇った冬の日光の底に静まりかえっている。
大分たって振りかえって見ると、婦人席も満員になっている。まだ大した人が外に待っておりますのよ、といっている声がきこえる。女の人ではなく、それは男の人たちということである。まだ四五百人おりますって。初めの一区切りは六百番まで入ったのだが、傍聴券は数の制限なしに出されるものだろうか。一般傍聴席は婦人席の五六十人分を入れて、七八百ぐらいあるのかしら。きょうは特別多いんでございますって、そういう声もしている。休会あけが十日のびたというばかりでない興味と期待とが、米内内閣の議会にかけられているというところもあるのだろう。
正面、幕のおろされた「玉座」の下の右と左とについている時計が秒から秒を運んで一時に近づくと、守衛が、一きわ声を張って注意を与えた。