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うしろたてやまはかしまやりがたけにあらざるか
後立山は鹿島槍ヶ岳に非ざる乎
木暮 理太郎
「山岳」1917(大正6)年9月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 7,698 字 · 15 页
然し山の名から沢の名が導かれることも少なくない。後立山谷なども其一の例であろう。越中側から後立山に登ることは、尾根伝い又は沢伝いに登るにせよ、現今でも非常に困難である事実から察して、これは矢張り立山附近から望見して名付けたものに相違ないとすれば、『下新川郡史稿』に謂う所の後立山谷は、つまり山名から導かれたものであって、前記の如く元来東谷の称呼であったものが、後に棒小屋沢に充てられるようになったものであろう。中村君の話に拠れば、音沢村の佐々木助七は現に棒小屋沢を東ゴリヨウと呼んでいるそうである(同人は棒小屋沢と向い合って西から黒部川に落合っている劒沢のことを西ゴリヨウと呼んでいる)。後立山谷がゴリヨウと呼ばれる為には、後立を音読してゴリフ、ゴリユ乃至ゴリヨウと呼ばれるようになったものと見るのが至当であろうと思う。
北城村では五竜岳を割菱岳と唱えているそうであるが、ゴリフの名も全く知られていなかった訳ではないらしい。十五、六年前にあの辺を旅行したことのある私の友人は、其時土地の人から大黒岳の南の山を北ゴリフだと教えられ、更に其南には南ゴリフと呼ぶ高い山のあることを教えられて頗る得意となり、そういう山を知っているかと聞かれたのには大に閉口した事がある。