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うしろたてやまはかしまやりがたけにあらざるか
後立山は鹿島槍ヶ岳に非ざる乎
木暮 理太郎
「山岳」1917(大正6)年9月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 7,698 字 · 15 页
これは預め諒恕を願って置く。
先ず順序として従来世に現われている諸書の後立山に就て記述するのが当然であるが、余り必要でもないからこれ等は一切省略して、直に本文に取りかかることにする。
『越中遊覧志』(此書の著者は明治十八年八月芦峅寺から立山に登った)を見ると別山から劒岳方面を展望した記事の後に次のように書いてある。
東はすべて数千尺の断崖絶壁にて、崖壁の下は黒部川の源流の出るところたり。之を隔て東に列る諸山は、越中信濃の界をなすものにして、針木、栂、後立、餓鬼、赤鬼等の名あり、其中に後立山最高し、余は高低を論ずるにも及ばず。
この針木とあるものは、恐らく針木峠の北に聳えている針木岳のことであろう、栂は赤沢岳が爺岳に対する越中人の称呼である(このことは後に述べる)。次の後立はウシロタテと読むのか又はゴリフと読むのか判然しないが、順序からいうと爺岳か鹿島槍に相当するらしいので、爺岳としても差支ないようであるが、「其中に後立山最高し」と明瞭に断ってある所から推せば、これはどうしても鹿島槍ヶ岳を指したものである。実際別山から東方を眺めて、これと頡頏する高さを有する山は、白馬連峰は距離が少し遠いので、鹿島槍ヶ岳の外には見当らないことになる。