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びみょうなにんげんてきこうさく
微妙な人間的交錯
宮本 百合子
雑誌ジャーナリズムの理想性と現実性
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 2,063 字 · 5 页
その社としては懐古的な意味をもった催しであったが、主幹に当る人はそのテーブル・スピーチで今日社が何十人かの人々を養って行くことが出来るのも偏に前任者某氏の功績である云々と述べた。今日に当って某誌が日本の文化を擁護しなければならぬ義務の増大していることを感じる言葉は聞かれなかった。だがその某氏は、現代ジャーナリズムが或る方面から極度に批判性を抹殺されていることに対しては、ジャーナリズム本来の性質に立って全く正当な不承服を感じているのが事実なのである。
理想主義と実利主義との摩擦はジャーナリズム経営の立場にある人々の性格の中に在るばかりでなく、経営の実利性そのものに影響しているところが、歴史の単純でない面白さであろうと思う。ジャーナリズムのこの機微と読者の声、要求との関係の中にこそ案外にジャーナリズムの大動脈が通っているのではあるまいか。
ジャーナリズムは夥だしい功罪ともども読者を捕えてゆくのではあるが、そのためには読者の人間的社会的意欲の動向を敏活にとらえ反映して展開させなければジャーナリズムは実利上にも成立たない。ここに、現代ジャーナリズムに対する読者の声、要求の深い意義とその積極性への翹望があり、又、編輯部の文化人としての良心、良識を今日にあっても絶望せしめない或るものがあると信じられるのである。