轻读日语

轻松读懂日语经典作品

ja-reading.com

轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。

びしょう

微笑

豊島 与志雄

「雄弁」1919(大正8)年2月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 20,995 字 · 43 页

青空文庫

右の外観上相矛盾するようで実は同じ基調の上に立つ二つの考えが、永い前から私の心の中に在った。然しそれをどうしようという気は私には無かった。私は自分が余りに怠惰で無力であると思っていた。そして絶えず奇蹟を待つような気で何かを待っていた。けれどそれも遂に徒らな空望であることを感じて私は益々倦怠と憂欝とに囚えられてしまった。

室の中にぼんやり寝転んでいると、窓の硝子越しに十一月の晴れた空が見られた。空は徒らに高く澄み返って、一片の雲も一羽の鳥の姿さえも見えなかった。顧みると、縁側の障子には暖かそうな日の光りが一杯当っていた。それを見ると、ふと外に飛び出したくもなったが、霜枯れの葉が震えてる木の梢や、じめじめした冷い地面や、物佗びしい寒い空気や、妙に澄しきった陰険な人々の顔などが思い出されて、また私は、閉め切った暖い室の中から立ち上るのが懶くなってしまった。

けれども夜になると、朝からつみ重なってきた退屈の量が堪えられないほどになり、食物を一杯つめ込んだ胃袋が妙に重苦しくなって、私はいつもS――にいる坂口を訪ねていった。坂口は非常に碁が好きで私と丁度いい相手だったので、いつも喜んで迎えてくれた。