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こころにうずくよっきゅうがある

心に疼く欲求がある

宮本 百合子

「中央公論」文芸特集号第四号、1950(昭和25)年9月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 11,908 字 · 24 页

青空文庫

の人間価値を評価し、彼ほど衷心から戦争の犯罪性を指摘するなら、人民階級の独裁ということと、金と権力をひっくるめて独占するということとの間にあるちがいについても学ぼうとするだろう。――これはもとより、わたしが「道標」の前半を、どのように書くことができているか、ということについての弁明ではない。「道標」前半におけるモスクワと伸子との相互関係は、伸子がまだそこにある社会生活を総括して政治的なその根元からつかめず、次々に接触する事物からの感銘や批判を摂取して目に見えず内面変革にすすんでゆく、その段階においてとらえられているのである。拙劣に扱われているかもしれないが、伸子とモスクワ生活との関係で、主体と方向は失われていない。

四

新心理主義の方法は、現代社会のコンプレックスを超現実の手法をもかりてコンプレックスなりに再現しようとしたのではなかったろうか。

文学にあっては、あることが表現しにくい、と表現するにさえ、つまりは表現の力をかりなければならない。文学として表現されたとき、真の人間不信はあり得ないと思う。なぜなら既に表現するということが、理解を予想しているのだから。