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こころのアンテナ

心のアンテナ

佐々木 邦

「現代」大日本雄辯會講談社、1937(昭和12)年1月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 12,973 字 · 27 页

青空文庫

「それ/\。しかしイロハは面倒だから習わない。本字から行こう。本字を片仮名で覚えれば宜いんだ」

「へゝえ」

「芸術家ってのは何だい? 英語の本字は」

「アーチストです」

「芸人は?」

「さあ。矢っ張りアーチストでしょう」

「彼方じゃ同じかね?」

「へい」

「成程。お前の言う通りの理窟だな。芸人が芸術家になるんだから」

「何うも同じだろうと思うんですけれど」

「インテリ/\と皆がよく言うが、あれは学者かい?」

「いや、知識階級のことです」

「道理でこの頃皆が俺のことをインテリと言う」

「御評判ですよ」

「仲間には英語を知っているようなインテリは一人もない。ところで素義は何と言う? 素人義太夫の旦那衆のことは」

「アマチャーです」

「甘ちゃん?」

「アマチャーでございます」

「玄人は?」

「プロフェッショナルです」

「野球と同じだな。今日はこれ丈けとして、今の本字を書いて置いておくれ。毎日頼む」

「へい」

「菅秀才じゃないが、一日に一字学べば、三百六十五字の教えだ」

「単語も必要ですけれど、応用的に書き抜きを拵える方が早くはないでしょうか?」

「書き抜きというと科白かい?」

「へい」

「弟子から科白を習うのは情けないが、近道なら仕方がない。