轻松读懂日语经典作品
ja-reading.com
轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。
こころのアンテナ
心のアンテナ
佐々木 邦
「現代」大日本雄辯會講談社、1937(昭和12)年1月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 12,973 字 · 27 页
「もう鶏の締められる声出さなくなりましたわね」
と美代子さんが敬意を表してくれた。その美代子さんは既に女学校を卒業して、白粉を濃く塗り始めた。もうお河童さんじゃない。明眸皓歯の美人だ。あれを考え、これを考えて、銀さんは昨今気が気でない。
四五年間の形勢が一変している。殊に著しいのは師匠の地位がその後向上したことと銀さんの足場が近頃急に悪くなったことだ。師匠は先輩の死亡や引退の為め、自然に最高峰へ押し上げられたのである。もう時機が来ていた。アメリカへ同胞慰問に行って来たのも好い宣伝になった。義太夫語りの洋行だから珍らしい。新聞が書き立てゝくれた。銀さんがついて行って、方々から通信を寄せた。学が役に立った。帰って来てからも、鐘太夫の活躍は目覚ましかった。義太夫は鐘太夫という印象を残した。ラジオへも度々出る。要するに、インテリ進出以来好いことばかり続いた。昨今は本業以外に芝居の方も引受けて、雑誌を発行している。義太夫のことなら何でも鐘太夫のところへ持って行けという次第だ。仕事が一ところに集まる。
「おれは三人芸だよ。この上、義太夫学校を起そうというんだから忙しい」