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こころのしらべ

心の調べ

宮城 道雄

宮城道雄『心の調べ』。同一底本的分册已合并为一书。收入:心の調べ、雨夜の駅、音の世界に生きる、垣隣り、声と食物、声と性格、声と人柄、五十年をかえりみて、純粋の声、春雨、耳の日記、昔の盲人と外国の盲人、山の声、私のすきな人、私の若い頃、レコード夜話。

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 29,958 字 · 66 页

青空文庫

しかし私としては、これから本当の勉強をしたかったのであるが、もともと家が裕福でない上に、父が事業に失敗して朝鮮へ渡って行ったが、また運悪く朝鮮の田舎で賊に襲われて、重傷を受けた。私は、已むを得ず十四の年に朝鮮へ行くことになったが、途中玄界灘で海が荒れて、船の中でおばあさんと心細いおもいをした。

仁川へ行って見ると、父の身体がまだはっきりしないので、結局私の細腕で箏の師匠をして、一家を支えなければならなくなった。

しかし年がいかないので、はじめはあまり習いに来る人もなかった。しかし一生懸命に教えている中に、半年程経つと、人が学校の下の少年先生と言うようになった。

お弟子も大分来てくれるようになり、私は昼間は箏を教えて、夜は鳥なき里のこうもりとでも言おうか、私の下手な尺八をおじさん達に教えていた。

ところが年がいかないせいでもあったか、昼間の疲れが出て、夜になると教えている中に、居眠りをしてしまう。しまいにはみんな怒って来なくなったりして、また謝りに行って来て貰ったこともあった。こういう中にも、私は箏をもっと勉強をしたいという心持は変わらなかった。

朝早くみんながまだ寝ている中から起きて一人で箏の練習をしていた。