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「しんりしけん」じょ
心理試験
小酒井 不木
小酒井不木『心理試験』。同一底本的分册已合并为一书。收入:「心理試験」序、外務大臣の死、国枝史郎氏の人物と作品、ヂュパンとカリング、二重人格者、ポオとルヴェル、歴史的探偵小説の興味、誤った鑑定、安死術、恐ろしき贈物、怪談綺談、稀有の犯罪、体格検査、被尾行者、変な恋、「マリー・ロオジェ事件」の研究。
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 96,338 字 · 197 页
が眼につくのはあたりまえであって、それによって作品の価値を云々するのは、当を得ていないかと思う。もっとも探偵小説の生命たる「推理」に矛盾があっては絶対にいけないけれども、それさえある場合には眼ざわりにならない。例えばポオの「マリーロージェ事件」の始めの部分と終りの部分には、ヂュパンの推理に矛盾があるけれど、でもやっぱり、あの作品は私にとって面白いものである。もっとも、推理に矛盾が無ければなお一層面白いにちがいないけれども、多くの読者はその矛盾に気づかずに読んでしまうから、少しも差支はないのである。たとい探偵小説の一つの目的が知的満足を与うる所にあっても、数学や物理とちがって、芸術であるからには、読んで行くときに気づかれない程度の不自然や「こしらえ」は許されてもよいではあるまいか。菊池寛氏が歴史小説について、読者が歴史に対して持っている幻影を壊さない限り、史実を勝手に変更してもかまわぬといっているように、自然であり、当然であるらしく思われることならば、たとい少数の頭のよい人に不自然であり、「こしらえ」であると気付かれても、作品の芸術的価値はゆるがないと思うのである。