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しんれいさつじんじけん
心霊殺人事件
「別冊小説新潮 第八巻第一四号(創作二十二人集)」1954(昭和29)年10月15日
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 25,557 字 · 52 页
「ワー。間に合った。ちかごろ土曜日が忙しくッてね。あッちこッちの坊やから誘いがかかるし。ヤレ、ヤレ」
ドッコイショと坐った。見るとすでに吉田八十松はボックスの中のイスにかけ、仙七が手首を縄でいましめ、イスにくくりつけた。足には縄をかけなかった。
「念のため、見においで」
仙七の言葉に辰男と糸子が立ってたしかめたが、辰男は自分でもう一巻余分にイスにまきつけた。そしてカーテンをおろし、
「あんまりきつい方じゃないが、まアまア」
と感服しない顔でもどる。すると仙七はすでにちゃんとポータブルを前に坐っていて、
「術の前後に音楽をならす。術者はこの音楽中に徐々に術の状態に入り、また音楽中に徐々に術の状態からさめる習いになっておる。音楽をならす場合を心得てるのは私だけだから、これを私がやる。曲はユーモレスクだ。誰か電燈を消しなさい。タバコを御遠慮を願う」
そのために灰皿の用意もなかったのだ。タバコを吸ってる者が慌ててタバコの箱で火をすり消したりしているうちに、糸子が立って電燈のスイッチをひねった。仙七がよその座敷や廊下の電燈を消しておいたので一瞬にして真の闇になってしまった。