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しんれいさつじんじけん
心霊殺人事件
「別冊小説新潮 第八巻第一四号(創作二十二人集)」1954(昭和29)年10月15日
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 25,557 字 · 52 页
とびきりのね。ウーム。そうか忘れていたね。なぜ後閑仙七氏がビルマの孫をひきとることを思いたったか。その謎だ。待てよ」
九太夫は思わず相好をくずしたが、
「糸子サン、ちょッと待って下さい。しばらく、考えるから。しかし、いそいで考えるよ。急がなければ追いつけないのでね。その間に糸子サンに警察署へ行ってもらうか。至急その荷物の発送を押さえてくれとね。ワケは考えをまとめた上で話します。間違っているかも知れないが……イヤ、イヤ、必ず当っているはずだ。糸子サン、急いで、急いで」
「ハイ、ハイ」
糸子は大至急立ち去った。警察でも荷物の発送を暫時止めるだけなら大したことにはならないと見てか、とにかく重大事件の関係物件であるから、九太夫の望み通り荷物の発送を押さえておいてくれたのである。
そこへ九太夫が警察を訪れて、
「どうやら事件が解決したと思いますよ。すくなくともあの荷物の内容を調べてみればね。ま、お茶を一杯のませて下さい」
★
それから五時間後。すでに吉田八十松は仙七殺しの犯人として逮捕され留置場にはいっていた。
九太夫は自分の旅館のロビーで糸子と辰男を前にコーヒーをすすりながら、気持よげに自慢話しをしていたのである。