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ただなおきょうぎょうじょうき
忠直卿行状記
菊池 寛
在线阅读菊池 寛《忠直卿行状記(ただなおきょうぎょうじょうき)》,假名注音日语阅读。JLPT N2,点词查义。
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 23,602 字 · 47 页
「えい! 何という仰せだ。この忠直が御先を所望してあったを、お許されもせいで、左様な無体を仰せらるる。所詮は、忠直に死ね! というお祖父様の謎じゃ。其方たちも死ね! 我も死ぬ! 明日の戦いには、主従挙って鋒鏑に血を注ぎ、城下に尸を晒すばかりじゃ。軍兵にも、そう伝えて覚悟いたさせよ」と叫んだ忠直卿は、膝に置いていた両手をぶるぶると震わせたかと思うと、どうにも堪らないように、小姓の持っていた長光の佩刀を抜き放って、家老たちの面前へ突きつけながら、
「見い! この長光で秀頼公のお首をいただいて、お祖父様の顔に突きつけてみせるぞ」と、いうかと思うと、その太刀を二、三度、座りながら打ち振った。まだ二十を出たばかりの忠直卿は、時々こうした狂的に近い発作にとらわれるのであった。
家老たちも、御父君秀康卿以来の癇癪を知っているために、ただ疾風の過ぎるのを待つように耳を塞いで突伏しているばかりであった。
元和元年五月七日の朝は、数日来の陰天名残りなく晴れて、天色ことのほか和清であった。
大坂の落城は、もう時間の問題であった。後藤又兵衛、木村長門、薄田隼人生ら、名ある大将は、六日の戦いに多くは覚悟の討死を遂げてしまって、ただ真田左衛門や長曾我部盛親や、毛利豊前守などが、最後の一戦を待っているばかりであった。