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しそうどういんろん
思想動員論
戸坂 潤
「日本評論」日本評論社、1937(昭和12)年9月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 9,012 字 · 18 页
帝国芸術院が養老院にしろ類似アカデミーであるにしろ、とに角文化勲章的存在のものであることには議論の余地がない。文芸懇話会は、処が決して、客観的に見る限りそういうものではなかった。夫は実際に於ては全く無能力ではあったが、客観的な評価からすると、一種の思想文化上の社会的闘争機関であった。恐らく或る一群の文士達の社会的なバカさ加減をテストする実験室であったかも知れない。して見ると文芸懇話会が解消になったことと、今回の日本文化中央連盟との間には恐らく内面的関係があるのだと見ねばならぬ。尤も文芸懇話会や松本学氏はどうでもいい。
日本文化中央連盟なるものは、決して官設ではない。実際官設ではこうした文化活動は出来ないのである。日本の政府は、そこまで文化的に達者ではないのだ。そこでこの機関は一応民間のものであり、財団法人なのである。ここにこの連盟の文化動員力・思想動員力・が横たわる。つまり一方に於ては民間の文化常識を援用することにより、他方に於ては官憲的名士による国権的権威によって、文化上の挙国一致主義とも云うべき支配者的意図に基いて「日本原理」に樹つ思想文化を民衆の間に動員しようというわけだ。