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しそうどういんろん
思想動員論
戸坂 潤
「日本評論」日本評論社、1937(昭和12)年9月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 9,012 字 · 18 页
丁度日本の内から「日本的」なものを区別することが滑稽な試みに終ったと同じに、このような「国民精神」が遂に何であるかは、国民精神文化研究所という超大学を以てしても奥を究めることが出来なかった。正にこの頃は、他方に於て所謂民間(実は文武官輩やその亜流のバックがあるのである)に於ける封建的なファッショ団体による「日本主義」思想がジャーナリズムの一角に於てさえ全盛を極めた時期であったが、この「日本主義」も亦、国民精神と同様に、内容が結局少しもハッキリしない、且つマチマチでバラバラなものであった。この封建ファシスト団体の多数の相互間に、対立と反目とがつきものであったのは、単に国粋会式な親分子分と繩張り仁義との結果だけではない。
処が封建ファッショ諸団体は、その社会的な対抗はとに角として、やがて一種の共通なイデオロギーを発見することによって、統一の希望を持てるようになって来た。之は他ならぬ「国体明徴」主義なのである。国民精神というのは極めて曖昧だと云われても抗弁の仕方を知らない。事実いくらでも研究と解釈の自由との余地はあるものなのだ。処が国体なるものは、少なくとも必要な最小限度に於いて、日本の憲法の成文が説明する処であるから、之ならば明々白々、明々徴々たるものなのだ。