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かいきじんぞうとう
怪奇人造島
寺島 柾史
「日本少年 付録」1937(昭和12)年8月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 43,159 字 · 87 页
しかも、氷上には、単葉の飛行艇が二機、翼を休めているし、水色の作業服を着た人々が、水晶のように美しい氷上を歩いている。
「北極から流れて来た氷山じゃないぞ。島の上に氷を張りつめたのかしら。いや、それなら家も、格納庫も、氷に鎖されているはずだ。だいいち、こんなに太陽が輝いて、暖かいのに、氷が溶けずに、大理石のように輝いているのは可笑しい」
僕は、いよいよ不審におもっていると、不意に扉が開いて、水色の作業服を着た一青年が入って来た。彼は、僕をじろりみて、いきなり、
「君の国籍は?」と妙なことを訊ねた。
「僕は、日本人です」
「うむ……それはいかん。日本人であることが不幸だった。せっかく救けてあげたが、このまま帰りたまえ」
「え!」
「われわれは、外国の漂流者を救助する義務はないのだ。すぐに、島を退去したまえ」
その声は、氷よりも冷たく感じられた。
「どうして、僕を追払おうとするのです」
「われわれは、水難救済事業に携っているのではない。しかも、君が、日本の少年であることが不幸だった。君を、この島に滞在させるわけにはいかんのだ」
「……」
「その理由というのはつまり、この島は、人造島だからだ」