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かいきじんぞうとう

怪奇人造島

寺島 柾史

「日本少年 付録」1937(昭和12)年8月号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 43,159 字 · 87 页

青空文庫

何しろ、この島じゃ、逃げも隠れも出来まいから、労働を強いてさんざ使ったあとで、海へ棄てても遅くはあるまい」と、云った。

「うん、それもそうだ」青年技師の声だ。

僕は、麻袋からつまみ出された。大理石のような硬い氷の上に立って、ひょいと見ると、皺枯れ声の主というのは、中国服を着て、木沓をはいた老人だが、中国人ではないらしい。彼は、僕の顔をじろじろ見ていたが、

「とにかく、この少年を、わしの研究室で使うことを許してもらおう。なかなか怜悧そうな少年だ」

こう云って、僕の肩を、枯枝のような細い手でつかんで、よろよろと歩きだした。僕は、この老人を、信じてよいのか悪いのかわからなくなったが、とにかく、危い瀬戸際に、少しでも生命を延してくれたので、感謝してもいいとおもった。

研究室は、同じ白堊の建物で独立していた。その一室へ、僕を連込んだ老人は、

「それへ掛けたまえ」と、一脚の椅子をすすめた。

「何を、お手伝したらいいですか」

「まア、仕事は、だんだんにはじまるよ。きょうは、ゆっくり体を休めたまえ」

なかなか親切だ。が、結局、僕をさんざん使ったあとで、海へ放り込もうというのだから、ピコル船長と五十歩、百歩だとおもった。