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かいきじんぞうとう

怪奇人造島

寺島 柾史

「日本少年 付録」1937(昭和12)年8月号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 43,159 字 · 87 页

青空文庫

「なるほど、その約束を忘れず、わしをかばってくれるのか、ありがたい。わしは、日本人の仁侠の精神に涙ぐまれる」

「そんなことはありません。僕は、あなたの科学の才能を、もっと、世界人類のために働かしてもらいたいとねがうのです。そのために、懸命に、あなたをたすけているのです」

「ありがとう、ありがとう。わしは、きっと、生き抜いてみせる」

大浪がくるたびに、方船は、顛覆しそうになる。

嵐に吹きつけられて、方船はほとんど浪に没することさえあった。

何よりも苦痛なのは、暴風雨に見舞われることだ。天蓋のない建物の屋根の上に、わずかに取すがっている僕等だから、豪雨には徹底的に叩きつけられる。が、この豪雨は、また漂流者にとって天の恵みでもあった。屋根の窪みなどに、雨水が溜るからだ。僕等は、それによって、渇を医やすことができ、雨水を呑んで、わずかに飢えを凌ぐのだった。

ときには、晴れた、気持のよい日和もあった。海洋は浅みどりに輝き、浪もおだやかで、方船の動揺も殆どなかった。こういう時に、僕は自分のきているジャケツの毛糸を解き、その毛糸を幾本かあつめて撚糸にし、また、屋根板から一本の釘を抜取って、これを曲げて釣針をつくって釣りをした。