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かいきじんぞうとう
怪奇人造島
寺島 柾史
「日本少年 付録」1937(昭和12)年8月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 43,159 字 · 87 页
君までが、……」
そういううちにも、死の船、――幽霊船は、意識してか、だんだんと方船の方へ近づいて来る。
おお、死の船? 恐怖の船?……
船と船とが、すれ違いになったとき、方船は黒船の舷側にぴったりと吸付いてしまった。いや、吸付いたとみたのは、汐のために、舷々相摩したのだ。方船の生残者たちは、
「あッ!」と一斉に叫んで、身を避けようとしたので、方船は一方に傾いて、危うく顛覆しそうだった。
僕は、恐怖と好奇の眼で、幽霊船の甲板を見上げた。それは僕がかつて恐ろしい目にあった虎丸だ。約三ヶ月目で相会したどろぼう船だが、もう舷側にはカキ殻が夥しく附着し、甲板には人影もなく、船体から烈しい臭気が発散している。「博士、死の船です。幽霊船です。甲板から不気味な妖気が立っています」
「うむ」と、老博士も好奇の眼を上げた。
「君たちはどうだ。幽霊船を探ってみないか」僕は、生残った技術員たちに呼びかけたが、彼等は、
「いや、真ッ平だ」
「あんな船に乗移ると、生命が奪われる」
と、口々に呟いて、顫えている。
「なんだ、意気地なし」
僕は、虎丸の舷側に垂れ下っている、タラップの端をつかんで、足をかけ、猿のように甲板へ登って往った。