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かいきじんぞうとう

怪奇人造島

寺島 柾史

「日本少年 付録」1937(昭和12)年8月号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 43,159 字 · 87 页

青空文庫

……だが、その少年の屍骸に触れてもらいたくはない」

「何故だ」

「おまえの味方だが、また、わしの愛するモルモットじゃ。一指も触れてはならぬぞ」

「黙れ、亡霊!」

「いや、わしの実験の済むまでは、一指も触れてはならぬのじゃ。強いて、屍骸に近寄ろうというのならば、おまえも、屍骸にしてやろう」

「…………」不気味なその一言に、ぎゃふんと参ってしまった。老博士は、二、三歩、怪老人の方へ進み寄り、

「実験といったね。何の実験かね」

「つまり、科学の実験なのじゃ」

「えッ! 科学」

「そうじゃ。亡霊が、死の船の甲板で、科学の実験をするとは、奇怪だとおもうだろう。わしは生きた人間を料理する科学者だが、みだりに生きた人間を取扱うと、陸では、法律上の罪人となるからのう」

「なるほど」

老博士は、更に二、三歩、前へ進んだ。怪老人は、ガラスのような眼で、相手を見て、

「そこで、わしは、実験室を、北洋のどろぼう船に選んだのじゃ。わしは、船医に化けて、この虎丸に雇われ、横浜から乗船した。そして、生体解剖の実験の機会を狙っていたのじゃ。するうち、それにいるボーイたちが、わしのために、絶好の機会をつくってくれたのじゃ。