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かいきじんぞうとう
怪奇人造島
寺島 柾史
「日本少年 付録」1937(昭和12)年8月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 43,159 字 · 87 页
「勿論さ。瓦斯の代りに、冷凍室で使う圧搾空気を入れたらいい」
「ああ、そうだ圧搾空気をつくろう」
僕は、悦しげに叫んだ。
烈しい風が吹いていた。風船を空に浮べるに絶好の日だ。
陳君は、この日朝から汽罐を焚いた。蒸気が機関のパイプに充満すると、動力をはたらかして、圧搾空気をつくった。それを甲板まで導いて、麻布の風船の中へ充填した。
天佑か、奇蹟か、大きな麻袋は、大きくふくらみ、空へ飛翔せんとて暴れ廻る。その口を固く結んで、縄を船橋の柱へ縛りつけた。
「おい、はやく、ハンモックへ乗りたまえ」
老博士は、僕等を促した。
「博士は?」僕は訊ねると、彼は叱りつけるように、
「この、不完全な風船に、われわれが乗れやしないじゃないか」
「でも、僕等だけ……」
「何を云うのか、おまえたちは、前途有為な少年じゃ。この魔の海を脱れなければならないが、われわれ老人は、もう任務が終ったので、この幽霊船と運命を倶にするのじゃ」
「そうだ。君たち少年だけで、大空へ脱れたまえ。わしと、博士とは、従容して、君たちを送るよ」怪老人も、僕等を促す。
「それはいけません。僕等は、あなた方を見殺には出来ません」