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あしのうら

怪奇探偵小説名作選7 蘭郁二郎集 魔像

蘭 郁二郎

蘭郁二郎『怪奇探偵小説名作選7 蘭郁二郎集 魔像』。同一底本的分册已合并为一书。收入:足の裏、穴、息を止める男、腐った蜉蝣、幻聴、孤独、舌打する、植物人間、蝕眠譜、自殺、鉄路、脳波操縦士、古傷、鱗粉。

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 109,233 字 · 223 页

青空文庫

ずつ早くおきて、それに馴れたら又十分位ずつ――十分位早く起きるのは一週間もあれば馴れちまうよ、馴れるというのは恐ろしいもんだね、習慣というのは実に偉大なもんだ、この世の中はすべて慣性、イナーシアーというものが支配しているんだ……』

黒住は、滔々と奇怪な説明を始めるのであった。私は、普段黙ってばかりいる箒吉の、このモノに憑かれたような饒舌に、寧ろ唖然としてしまった。

『それで、君は、眠りを減らしているというのかい――』

『ウン、僕はここ数ヶ月、血の出るような苦心を払った、僕は一週間に二十分位ずつ睡眠時間を減らしてみたんだ、そして君、成功したよ、もういまでは二日に十五分も寝ればいいんだ、四十八時間のうち十五分しか寝ないんだ、もうすぐ三十日間に十分も寝ればいいようになるだろう……』

私は、黒住が、これほど巧みな話術を、持合せていようとはいまの今まで気がつかなかった。

(なんだバカバカしい――)と思うほかに(或は、そうかも知れぬ……)とも思われて来るのだ。

ダガ――

『ナゼそんなことを始めたんだい』

私は、とうから聞こうと思っていた問題に辿りついた。

『それは、それは一寸』