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あしのうら
怪奇探偵小説名作選7 蘭郁二郎集 魔像
蘭 郁二郎
蘭郁二郎『怪奇探偵小説名作選7 蘭郁二郎集 魔像』。同一底本的分册已合并为一书。收入:足の裏、穴、息を止める男、腐った蜉蝣、幻聴、孤独、舌打する、植物人間、蝕眠譜、自殺、鉄路、脳波操縦士、古傷、鱗粉。
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 109,233 字 · 223 页
――少し長く勤めた機関手なら、こんなにまで、のぼせ上る筈はないが、源吉は、まだ勤めは浅い上に、「人を轢いた」という大事件は生れて始めての出来事なのだ。まして助手の久吉に到っては今日で、二回目の乗組だった――。
源吉は、思い切ったように、手すりに凭れて、下に飛下りた。道床の砂利が、ざらざらと崩れ、危うく転びそうになって枕木にべたりと触わると、ひやっとした冷たいものを感じた。
(血!)
然し、幸い、それは枕木に下りていた夜露だった。
二
思えば、この事件が、源吉を、恐ろしい轢殺鬼(?)に誘導する第一歩だったのだ。といっても、勿論、口に出していえることではなかった。が、話せなければ話せないだけ、又激しい、根強い魅力があったのだ。
それには、も一つ、それを助けることがあった、というのは、如何に源吉が、悪魔的な男であったにしても、あの一回だけであったならば、彼の記憶の中に、
『機関手時代の、最も忌まわしい思い出』
と、しか残らなかったろう。
だが――。
源吉の、最初の轢殺問題が片付いて、彼が、詰所に顔を出した時だった。
『やア、源さん。えらいことをやったね』