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あしのうら
怪奇探偵小説名作選7 蘭郁二郎集 魔像
蘭 郁二郎
蘭郁二郎『怪奇探偵小説名作選7 蘭郁二郎集 魔像』。同一底本的分册已合并为一书。收入:足の裏、穴、息を止める男、腐った蜉蝣、幻聴、孤独、舌打する、植物人間、蝕眠譜、自殺、鉄路、脳波操縦士、古傷、鱗粉。
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 109,233 字 · 223 页
(ちぇッ)と舌打ちしたいような、激しい苛立たしさにみたされた。
(莫迦にしてやがる……)
――そこには、一匹の、轢殺鬼しかいなかった。
こうした、轢死人のない日の彼は、待ち呆けを食わされたような溜らない憂鬱だった。そうしてその憂鬱を、京子との糜爛した情痴で、忘れようとした。
源吉の性格は、ガラリと変って仕舞った。最初は、あの真綿で頸を締められるような、血みどろな悪夢から、遁れようと求めた京子だったのが、今は、その悪夢なき日の遣る瀬なさに、舐めるように愛撫するのだった。
然し、何故か近頃、京子は源吉に、冷たいそぶりを見せて来た。
勿論、この轢殺鬼と、女王のような、美貌の京子とが、無事に納まろうとは思えない。京子は源吉の列車が、余りに人を轢く、ということに、女らしく、ある不安を持って来たのだろうか。そして、そのポツンと浮いた心の隙に、第二の情人が、喰い込んだのではないか。
(京子の奴、なんだか変だな……)
源吉も、時々そんな気持に襲われた。と一緒に、火のような憤激が、脈管の中を、ワナワナと顫わして、逆流した。
五
それは、源吉の危惧ではなかった。