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あしのうら

怪奇探偵小説名作選7 蘭郁二郎集 魔像

蘭 郁二郎

蘭郁二郎『怪奇探偵小説名作選7 蘭郁二郎集 魔像』。同一底本的分册已合并为一书。收入:足の裏、穴、息を止める男、腐った蜉蝣、幻聴、孤独、舌打する、植物人間、蝕眠譜、自殺、鉄路、脳波操縦士、古傷、鱗粉。

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 109,233 字 · 223 页

青空文庫

「えっ――」

あまり突然だったので、びっくりしたように眼をあげた森源は、何か口の端まで出かかった言葉を、もぐもぐと呑込んでしまうと、

「そうですか、では、ぜひ来て下さい」

そういってルミに眼くばせをし、玄関の自動開閉ドアのところまで送って来た。

「ああ、そうそう、こんど伺ったら、一度あなたの研究室を見せて頂きたいと思っていますよ」

「そうですね、なアにたいした設備もないけれど、そのうち見て下さい」

なぜか、森源は、淋しそうに相槌を打って私を送り出した。

脳波操縦

その翌日だった。

午後にでもなったら、又森源のところでも行ってみようか、と思いながら、ぼんやり二階の手すりに手をもたせて、澄み切った奥伊豆の蒼空を眺めていると、ふと視界のはしに、華やかなものを感じ、眼を凝らしてみると、どうやらルミが、それも私の家の方に向って、飄々と歩いて来るのであった。モダン娘ルミの歩きっぷりを、飄々などと形容するのは妙なようだけれど、事実その姿は、まるで風に送られて来るかのように、変に緩漫な、それでいて、一刻も早く此処へ着こうとする激しい気力を感ずるような足取りなのであった。