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あしのうら
怪奇探偵小説名作選7 蘭郁二郎集 魔像
蘭 郁二郎
蘭郁二郎『怪奇探偵小説名作選7 蘭郁二郎集 魔像』。同一底本的分册已合并为一书。收入:足の裏、穴、息を止める男、腐った蜉蝣、幻聴、孤独、舌打する、植物人間、蝕眠譜、自殺、鉄路、脳波操縦士、古傷、鱗粉。
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 109,233 字 · 223 页
つまり、その路は、崖の中腹を削ってつくられた小径であった。
其処へ立つと、海面から吹渡る潮風が、まともにあたって、真夏の夜だというのに、ウソ寒くさえ感じられた。
遥か左方、入りくんだ海をへだてて、水晶の数珠玉をつらねたように、灯の輝いているのが、今、銀座のように雑沓しているであろうY海岸であった。然し、この人っ子一人見えぬ、灯一つないこの場所では、すでに、闇の中に海もひっそりと寝て、黒繻子のような鈍い光沢を放ち、かすかに渚をあらう波が、地球の寝息のように、規則正しく、寄せてはかえしていた。
山鹿とも一人は、そこまで来ると、つと立止った。
そして前跼みになって、何か捜しているようだったが、それは、崖を下る小径だったと見えて、軈て、その二人の白服は、するすると真黒い草叢の中へ消えてしまった。
(おや、どうするんだろう――)
と頸をかしげた鷺太郎は、
(む、海岸へ下りて、渚づたいに帰ろうというんだな)
と思いなおした。
ダガ、不思議なことには、そう長い時間がかかろうとも見えぬ、崖の草叢に下りて行った二人の姿は、それっきり、鷺太郎の視界から、拭いさられてしまったのだ。