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あしのうら

怪奇探偵小説名作選7 蘭郁二郎集 魔像

蘭 郁二郎

蘭郁二郎『怪奇探偵小説名作選7 蘭郁二郎集 魔像』。同一底本的分册已合并为一书。收入:足の裏、穴、息を止める男、腐った蜉蝣、幻聴、孤独、舌打する、植物人間、蝕眠譜、自殺、鉄路、脳波操縦士、古傷、鱗粉。

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 109,233 字 · 223 页

青空文庫

そう低い声でいうと、いつの間にか右手には、鈍く光る短銃が握られていた。

(あ、しまった!)

三人とも、一瞬、歯を鳴らした。

『あ、蛾だ!』

鷺太郎が、山鹿の肩を指して叫んだ。

『え』

一寸、山鹿の体が崩れた、と鷺太郎の体が、砲弾のように飛びついたのと同時だった。

『畜生!』

ごろん、と音がすると短銃が落ちた。畔柳博士はすくい取るように拾った。

『山鹿! 変な真似をするな』

一挙に、又立場ががらりと逆になってしまった。まるで、それは西部活劇のような瞬間の出来事だった。

『馬鹿野郎――』

春生の右手が、山鹿の頬に、ビーンと鳴った。そして、洋服を剥取ると、ドアーの鍵を出して改めた。

鷺太郎は、この騒ぎに投出された「おみやげ」の箱を拾い上げると、

『山鹿、この上もないおみやげだぞ……そら、蝶や蛾がうじゃうじゃいる――』

『あ、そ、それは……』

山鹿の全身は紙のように白くなって、わなわなと顫えはじめた。その眼は真赤に充血してぴょこんと飛出し、脣は葡萄色になって、ぴくぴくぴくとひきつっていた。

世の中に、こんなにまで凄まじい恐怖の色があろうか。相手が、あの可愛いい蝶々だというのに――。