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あしのうら
怪奇探偵小説名作選7 蘭郁二郎集 魔像
蘭 郁二郎
蘭郁二郎『怪奇探偵小説名作選7 蘭郁二郎集 魔像』。同一底本的分册已合并为一书。收入:足の裏、穴、息を止める男、腐った蜉蝣、幻聴、孤独、舌打する、植物人間、蝕眠譜、自殺、鉄路、脳波操縦士、古傷、鱗粉。
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 109,233 字 · 223 页
なんだか、彼の一ヶ年の苦心を一瞬にぶち壊してしまった心の苦悶が、特に私にだけよく解るような気がし肉親の苦しみを見るような、胸の痛みを覚えたのであった。
――それっきり、彼は黄昏の散歩にも現われなかった。それを心配して私は二三度彼の家を訪ねて見たが、昼も夜も、いつも春日は不在であった。そして、何時か私の足も遠のいてしまった。
――その中に、私の借りている別荘を管理している植木屋の口から、太郎岬の一軒家にいる変り者の男が、何を思ったのか、近頃しきりと、この町からバスの通じている隣り町まで行き、そこの私娼窟にせっせと交っているという噂を聞いた。
そして、その男は其処の花子という若い私娼に夢中になって「ねんね、ねんね」などと子供のように可愛がるのだそうだ、という話を、この話題に乏しい町の噂が伝えて来たのであった。
私にはその「ねんね」は「ネネ」の誤りであろうことは、すぐ想像出来たが、それと同時に、彼がネネと呼んで愛撫するという女性に、ひどく興味を覚えて来た。
(ほんとにネネのような女であろうか)
それとも、
(その女が、偶然、ネネの姉妹であったとしたら……)