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あしのうら

怪奇探偵小説名作選7 蘭郁二郎集 魔像

蘭 郁二郎

蘭郁二郎『怪奇探偵小説名作選7 蘭郁二郎集 魔像』。同一底本的分册已合并为一书。收入:足の裏、穴、息を止める男、腐った蜉蝣、幻聴、孤独、舌打する、植物人間、蝕眠譜、自殺、鉄路、脳波操縦士、古傷、鱗粉。

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 109,233 字 · 223 页

青空文庫

冷ッとする空気と一緒に、ドアーを押しあけて、はいって来た男があった、一目で私は

(黒住――)と直感した。

黒住は、薄く笑いながら、私の前の椅子に腰を下ろした。

『しばらく、待った……きのうは、行き違いになってしまって――』

私は、黒住が来たら、いまの今まで、約束の時間を無視したことを、詰ってやろう、と心構えにしていたのだが、一目彼の様子を見ると、その余りに憔悴した容貌に押されて、口を噤んでしまった。

その高く突出した頬骨の下に、洞穴のように落ち窪んだ頬、いつの間にか老人のように蒼白くたるんでしまった皮膚、どんよりと灰色に濁った瞳、それらと奇怪な対照をなす真赤な薄い脣――これらは一体、何を語るのであろうか……。

『どうしたんだい君、病気なのか――』

『いいや』

黒住はだるそうに、口を動かし始めた。

『手紙の返事も出さないで、悪いとは思ってたんだが、何しろ、今、一寸重大な実験をしてるんでね――』

『重大な要件、っていうのは』

『それなんだ、実は、僕はもう長いことないかも知れないんで、君に、色々頼みたいこともあるんで……』

『バカな――』

私はそれとなく、さっきから黒住の薄い影を気にしていたので、思わず大きな声でその不安をはね飛ばそうとした、だが黒住は案外落着いて