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かいいくらやみまつり

怪異暗闇祭

江見 水蔭

在线阅读江見 水蔭《怪異暗闇祭(かいいくらやみまつり)》,假名注音日语阅读。JLPT N2,点词查义。

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 12,923 字 · 26 页

青空文庫

四

何心なく源八郎は裏山の方を透して見た。すると大きな大きな欅の樹の、すでに立枯れになっているのが、妖魔の王の突立つ如くに目に入った。その根下に、怪しい人影が一個認められた。

気になるので密と立木の間を縫って、近寄って見ると、意外にもそれは例の旅商人であった。

いよいよ以て怪しいと思って、源八郎は忍び足に近寄ろうとすると、旅商人はすでにそれと感付いたらしく、立上って逃げようとした。

「おいおい、お前はまだここにいたんだな。布田の方へは行かなかったのか」

源八郎は声を掛けた。

「おやっ」

少からず旅商人は驚いた。

「旦那は、能くこの暗いのに、私ということが分りましたね」

「お前は又拙者が忍んで近寄ったのに、能く分ったの」

向うも驚いたが、こちらでも驚いたのであった。

「へえ、私は、昼間より、夜分の方が眼が能く見えますんで」

「なに、その方も夜目が利くのか。拙者も実は夜目が利くのだ」

「おや、旦那も夜目がねぇ、へえ、そうでございますかい。じゃあ矢張、お稼ぎになるんですね」

「稼ぐとは何を」

「へへへへ」

「何を稼ぐと申すのか」

「なに、ちょっと、その」

「拙者を白浪仲間とでも感違いを致したのか」