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こいのいっぱいうり

恋の一杯売

吉行 エイスケ

「文芸公論」昭和2年10月号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 7,183 字 · 15 页

青空文庫

私は花田君子柳の下に棄てて、カバレット銀座、未来の情婦、万国の血をみて狂うメイ・フレデリック、私を見るや彼女の情熱死物狂い(その頃喫茶店インタナショナルの芸術家は珈琲とフランス菓子に驚歎して昆虫類が今後人間に代ってエゴイズムと排他主義、実行する。)

水晶色のシャンパン、エナメルの空、噴水してメイ・フレデリックの金色の靴、注いで私は彼女に恋を語る。サロンを平定した私、フレデリックの桃色に化粧した爪先に唇を当てて、千九百二十年後の女性の進歩した足を観察する。バビプによって手術された近代女のヴァルバ、マルセル・ウェーブによって美の典型を指示した化粧術、最もきわどいエルンスト・フルウ氏の子宮除去法、知人の政府委員はメイ・フレデリックの美顔術によってマルクス学の国家理論さえ見下す約束手形を振り出した。しかし次の瞬間が私に東京を去らしてしまった。私は日本が過去の栄華から、幻燈に似た流行を耽溺するプチ・ブルジョワの一群と、実生活から畸型的に形成されたブルジョワ末期の社会に発生したプロレタリア精神の出現を、繁雑な社会主義理論闘争から逃れて、私を信仰する一人の女性の涙とともに東京駅を離れて品川の砲台、横目で計算していた。