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れんあいろん
恋愛論
「婦人公論 第三巻第四号」1947(昭和22)年4月1日
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 5,579 字 · 12 页
私はいったいに万葉集、古今集の恋歌などを、真情が素朴純粋に吐露されているというので、高度の文学のように思う人々、そういう素朴な思想が嫌いである。
極端にいえば、あのような恋歌は、動物の本能の叫び、犬や猫がその愛情によって吠え鳴くことと同断で、それが言葉によって表現されているだけのことではないか。
恋をすれば、夜もねむれなくなる。別れたあとには死ぬほど苦しい。手紙を書かずにいられない。その手紙がどんなにうまく書かれたにしても、猫の鳴き声と所詮は同じことなので、以上の恋愛の相は万代不易の真実であるが、真実すぎるから特にいうべき必要はないので、恋をすれば誰でもそうなる。きまりきったことだから、勝手にそうするがいいだけの話だ。
初恋だけがそうなのではなく、何度目の恋でも、恋は常にそういうもので、得恋は失恋と同じこと、眠れなかったり、死ぬほど切なく不安であったりするものだ。そんなことは純情でもなんでもない、一二年のうちには、また、別の人にそうなるのだから。
私たちが、恋愛について、考えたり小説を書いたりする意味は、こういう原始的な(不変な)心情のあたりまえの姿をつきとめようなどということではない。