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きょうふのくちぶえ

恐怖の口笛

海野 十三

「富士」1934(昭和9)年8月号~11月号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 60,713 字 · 122 页

青空文庫

と雁金検事は、冷やかに云った。大江山は検事の反対らしい面持を眺めていたが、

「――それで検事さんは、この事件をどうして知られたのですか。それから今お話のパチノ墓地の物語などを……」

検事はそれを訊かれるとニヤリと笑みを浮べ、「それは今朝がた、もう死んだものと君が思っている青竜王が邸へやって来て、詳しい話をしていったよ」

「なんですって、アノ青竜王が……」

大江山は検事の言葉が信じられないという面持だった。青竜王すなわち痣蟹は、そこに死んでいるではないか。

「そうだよ。彼は昨夜十二時、ここへ忍びこんだそうだ。すると、例の恐怖の口笛を聞きつけた。これはいけないと思う途端に、おそろしい悲鳴が聞えた。近づいてみると、痣蟹が自分の服装をして死んでいたというのだ」

「ああ青竜王! するとこれは偽せ物で、本物の方は、やっぱり生きていたのか」

大江山課長はそういって、大きな吐息をついた。

ゴルフ場にて

大江山捜査課長は後を部下に委せて、一旦本庁へかえったが、覆面探偵がまだ健在だと聞いて、立っても据ってもいられなかった。なんという恐ろしい相手だろう。彼は自分の部下の警戒線をドンドン破って潜入し、それからパチノ墓地の秘密などをテキパキと調べてゆくことなど、実に鮮かだった。