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きょうりゅうとう

恐竜島

海野 十三

「PTA世界少年」1948(昭和23)年1月号~終了月は未詳

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 98,662 字 · 199 页

青空文庫

それをマルタンがうしろからかかえてくれた。

しかしマルタン氏は声が出なかった。それで、声のかわりに玉太郎の肩をぱたぱたとたたき、彼の顔をハンカチであおいでやった。

玉太郎もやはり声が出なかったので、身ぶりでもってマルタン氏に感謝した。つっ立っている二人の脚から腹へ、腹から胸へと、赤蟻がぞろぞろとはいあがってきた。

「もう一息だ。元気を出して……」

マルタン氏が、やっと口をきいた。

「もう大丈夫。さあ行きましょう」

玉太郎も、しゃがれ声を出して、マルタン氏の先に立って、また走りだした。

さいごの椰子の木の林をとおりぬけ、二人は海岸にたっているテントめざしてかけた。

小屋の前に、人々はあつまっていた。にぎやかに、歌をうたったり、手をあげたり、おどったりしている。酒宴がはじまっているらしい。

玉太郎とマルタンが近づくと、彼らは、酒によったとろんとした眼で、二人をよく見ようとつとめた。しかし首がぐらぐらして、はっきり見えないようすだ。

「だ、誰だ。こわい顔をするない。まあ、一ぱい行こう」

そういったのは、水夫のフランソアであった。その横には、水夫のラルサンがよいつぶれて、テーブルがわりの空箱に顔をおしつけたまま、なにやら文句の分らない歌を、豚のような声でうたっている。