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ゆかいなきょうしつ

愉快な教室

佐藤 春夫

「マドモアゼル 第一巻第五号」小学館、1960(昭和35)年5月1日

N3 · 进阶 · 新字新假名 · 10,276 字 · 21 页

青空文庫

なかには犬の嫌いな先生もいて、犬を追い出そうとするが、犬どもはどうしても教室から立ち退かない。そういう場合にはE子が席を立って教室を出ると、犬は三匹のチョビをはじめみんなE子のあとについてゾロゾロと出てしまう。E子だけが急いで席にもどってドアを閉め切る。犬は是非なく校庭のどこかにこの時間を過しているらしい。そうして次の時間にはまた隙を見つけて生徒たちといっしょに教室に来ている。

はじめは教室の床に臥ていたのが、そのうちに欠席している生徒の席の上に乗っかって座ったりしはじめた。先生も生徒も犬の学生を見ておもしろがっている。というのは、犬は案外おとなしくわき見もしないで先生の講義に聞き入っているからである。

「この間などは」とM子が言う。「イタ先生の……」

「イタ先生と言うのは何だ? 板谷先生とか板垣先生とか……」

「ちがうわよ、社会の先生で、まるっこい顔がイタチに似ているとだれかが言い出して、イタチというアダ名だけれど、イタチでは悪いから、イタ先生と言うのよ」

「ふうむ、イタチの講義を犬が聴いている図はおもしろいね」

「その時間は、みんながわき見をしたり、ガヤガヤとおしゃべりをしてやかましかったので、