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わがじんせいかん
我が人生観
05 (五)国宝焼亡結構論
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 9,599 字 · 19 页
それは、人を疑るからではなくて、こういう場合に想定せられる自分自身を疑らざるを得ないからだ。
美に対する嫉妬、見物人に対する反感、そういうことを、この犯人が考えたことがなかったというわけではない。そういうことも考えたことがあったであろう。しかしながら、真に彼が火を放った原動力というものは、果してかかる観念的な結論から到達した決断であったか、どうかは疑わしい。
私は思うに、人々は(立派な文士、学者、社会批評家、美術家をひッくるめて)焼かれた金閣寺という建築物に重点が置かれすぎて、判断に公平を失したのだろうと思う。金閣寺でなくて、もっと名もない建物に放火したのであったら、彼がもっと深遠な放火動機を述べたてても、まるで犯人の言った言葉が「生き物」として扱われるような、変な取扱いをうけることにはならなかったであろう。
私はこんな青年はザラにいると考えているのである。彼はたぶん変質者で、同居人や、主人筋の人々に愛されず、ひそかな反抗を内攻させて、あげくの放火であったろうと思うが、たまたま彼が金閣寺に住んでいたから、金閣寺に放火するに至ったまでのことである。