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わがじんせいかん

我が人生観

坂口 安吾

06 (六)日大ギャング

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 8,737 字 · 18 页

青空文庫

通観して、彼は自ら悪党とも思っていないし、彼女の父という人間が、彼女の父である位置のほかには、対等以下のヒケメをもつ理由を知らないのである。だから、彼女の父が彼を浮薄な奴だと評したときいて、「若い男の心のプライドを傷けるに十分な四十男の世の見方でした」とガイタンしているのである。

しかし、最も注目すべき告白は、そのすぐ次の一行である。曰く、

「彼女の主観も入っていたかも知れません」

痛快なほど率直である。彼は愛人の心を常々疑っていたのである。つまり彼女に「浮薄な奴だ、いわゆるアプレだ」という風に見られていないかということを、疑心暗鬼でいたのである。しかし幸いにして「そうして僕達は互の心を探り合いましたが、二人の気持は変らないと云うのが話した後の結果でした」というように、彼のためにはメデタシ/\の結果が現れてくれたのである。

★

山際が手記の中で佐文との恋愛をのべている言葉と、佐文が二人の愛情を告白している言葉とは、面白い対照をなしている。

「左文に逢ったのもトラブルが起きたのも偶然だったと思える様な気がします。しかし斯ういうことは変に小説めくのですが、確かに僕と彼女は何か宿命的な因縁と云おうか、始めて逢った時でも他人のような気がしなかったのです。