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あるかたきうちのはなし

或敵打の話

芥川 竜之介

枪术精湛的武士田冈在比武中故意输给对手,反被嘲笑。主公不悦,谣言四起,他的名誉还能挽回吗?

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 9,276 字 · 19 页

青空文庫

甚太夫の負けざまは、間もなく蔭口の的になった。「甚太夫は戦場へ出て、槍の柄を切り折られたら何とする。可哀や剣術は竹刀さえ、一人前には使えないそうな。」――こんな噂が誰云うとなく、たちまち家中に広まったのであった。それには勿論同輩の嫉妬や羨望も交っていた。が、彼を推挙した内藤三左衛門の身になって見ると、綱利の手前へ対しても黙っている訳には行かなかった。そこで彼は甚太夫を呼んで、「ああ云う見苦しい負を取られては、拙者の眼がね違いばかりではすまされぬ。改めて三本勝負を致されるか、それとも拙者が殿への申訳けに切腹しようか。」とまで激語した。家中の噂を聞き流していたのでは、甚太夫も武士が立たなかった。彼はすぐに三左衛門の意を帯して、改めて指南番瀬沼兵衛と三本勝負をしたいと云う願書を出した。

日ならず二人は綱利の前で、晴れの仕合をする事になった。始は甚太夫が兵衛の小手を打った。二度目は兵衛が甚太夫の面を打った。が、三度目にはまた甚太夫が、したたか兵衛の小手を打った。綱利は甚太夫を賞するために、五十石の加増を命じた。兵衛は蚯蚓腫になった腕を撫でながら、悄々綱利の前を退いた。