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せんそうジャーナリストろん

戦争ジャーナリスト論

戸坂 潤

「日本評論」日本評論社、1937(昭和12)年10月号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 8,881 字 · 18 页

青空文庫

そういうジャンル専門の作家は、文学者としての作家の内にはまず一人もいないのだから、之は今の処問題にならぬ。だが文学者型の戦争ジャーナリストはいるのである。或いは戦争通俗物語家とでもいうような人ならばいなくはない。後者には福永恭助氏などを例にとっていいかも知れない。前者の例として私は水野広徳氏などを挙げることが出来るように思う。文学者型の戦争評論家とはどういう心算かと云えば、軍事又は軍政専門の学究型の評論家や、軍政策論者としての武弁型評論家や、或いはプロパガンディストやデマゴーグやセンセーショナリストとしての戦争ジャーナリストから、之を区別したいからである。勿論水野氏は軍事一般についての相当の専門家だろう。だが氏の書くものの一つの傾向として、戦史物語風のスタイルがあることを忘れてはなるまい。ここが他の戦争ジャーナリストに較べて著しい異色である。そして夫は中々読み応えのあるいいものでもあるのだ。

尤も氏の評論家としての特色をここにだけ限ることは、大きな見落しだろう。氏は単なる戦争ジャーナリストに止まるものでもない。氏の自由主義的、デモクラシー的、社会評論はすでに一定の読者を持っている。