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せんそうジャーナリストろん

戦争ジャーナリスト論

戸坂 潤

「日本評論」日本評論社、1937(昭和12)年10月号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 8,881 字 · 18 页

青空文庫

武藤氏のような戦争の形而上学の類は、この人にはまずないらしいが、戦争論が哲学的にもつ価値などについては、相当の理解を持っている。尤もこの人と雖も、その時局観は多くの戦争ジャーナリストの公式を出てはいない。そういう点では戦争の本格的な社会分析には、到底達することの出来ない宿命にあるのではないか。

戦争について本当に社会的分析をやろうとすれば、今まで述べたような狭義のプロパーな所謂「戦争ジャーナリスト」では手に負えないわけだ。まず少なくとも充分の経済学的分析がなくてはならぬ、そしてそれに基いた理論的な政治的見解が示されねばならぬ。そして最後にこういう一切の社会認識を、戦争及び戦時時局という特殊なテーマに集中しなければならぬ。之は容易な仕事ではない。こうした軍事研究家も、そうした戦時評論家も、恐らく日本にはまだいないのではないかと思う。もしいるとすれば、そういう問題の適切即応の解釈は日本国民全般が切望している時事的な課題なのだから、今日のような事情の下には必ず現われずにはおかぬ筈だ。処が之に相当するものは、実はさっき述べた戦争プロパー・ジャーナリストのタイプにぞくする者の内にしかなく、而もその内にも最も社会常識に於て偏極した人物の言論が夫であって、遂に日本の国民をして、戦争の社会的認識の欲望をば充分に満足させる