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せんそうろん

戦争論

坂口 安吾

「人間喜劇 第一一号」イヴニングスター社、1948(昭和23)年10月1日

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 10,716 字 · 22 页

青空文庫

こんな女に誰がした、というような無自覚、無責任な魂は、反抗などすべきでなく、どこまでゞも、こんな女にされて行くがよろしいのである。

私は、闘う、という言葉が許されてよろしい場合は、たゞ一つしかないことを信じている。それは、自由の確立、の場合である。もとより、自由にも限度がある。自由の確立と、正しい限界の発見のために、各人が各人の時代に於て、努力と工夫を払わねばならないものだ。歴史的な全人類のためにではなく、生きつゝある自分のために、又、自分と共に生きつゝある他人のために。そして、それが歴史的な全人類につながる唯一の道でもある。

個人に於けるが如く、国際間に於ても、各国家の自由の確立と正しい限度の発見は、最後の目的でなければならぬ。

多くの場合、戦争は、他国からの侵略に対して、自由の確立のために闘われてきた。日本は逆に他国を侵略し、その自由をふみにじって、今日のウキメを見たが、個人に於ける如く、国際間に於ても、かゝる侵略主義は、尚、跡を絶っていない。

私は然し、戦争の効能を認めているのである。なぜなら、戦争は、文化を交流させ、次第にその規模が全世界的となるに及んで、帰するところは単一国家となり、いくたびかの起伏の後に、やがて、最後の平和が訪れる筈であるからだ。