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せんゆう
戦友
小川 未明
「新児童文化 第4冊」1942(昭和17)年5月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 3,699 字 · 8 页
おれは、しゃくにさわったから、熱湯をわかして、かけてやったが、支那兵と同じくその数は無限なのだ。そこはありのほうが勇敢で、友の屍の上を乗り越えて、目的に向かって前進をつづけるというふうで、この無抵抗の抵抗には、こちらが、かえって根負けをしてしまったよ。そのとき、感じたんだ。この小さな虫ですらが、種族全体の幸福のためには、自分の死をなんとも思わないこと、その有り様を見て、驚かざるを得なかったのだ。」
「学ぶべきことかもしれないな。」
「いや、大いに学ぶべきことだよ。見たまえ、こんなところにもありがいるじゃないか。ほかの生物は生存競争に滅びても、協力生活をするありの種族だけは栄えるのだ、世界じゅうどこでも、ありのいないところはないだろう。」
「僕も、そんなことをなにかの本で見た覚えがある。」
「君が、花を見て考えていたときに、僕は、またありのごとく屍を乗り越えて、突進する自分の姿を空想していたのだな。それで、君が先に死んだら、おれは骨壺を負っていってやるぞ。」
「どうか、そうしてくれ。」
突如として、このとき、耳をつんざくような砲声が、間近でしました。短く、また長かった、二人の夢が破れたのです。