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せんごぶんしょうろん
戦後文章論
「新潮 第四八巻第一〇号」1951(昭和26)年9月1日
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 7,728 字 · 16 页
けれども、その多少によって絵か文学かが定まるわけではなくて、漫画の発想も構成もほぼ文学そのものだという意味です。絵で読むコントであり、落語であります。
ですから漫画家は文章がうまいな。近藤日出造や清水崑の人物会見記は、漫画も巧いが、文章の巧さもそれ以下ではない。
本職の絵カキはデッサンということを云う。文章にはそれにちょうど当てはまるものがないようだが、もしも文章に基本的な骨法があるとすれば、物の本質を正確につかんで、ムダなく表現することだろう。彼らの会見記はその骨法にかなうこと甚大で、それも最短距離で敵の本質をほぼ狂いなく掴んでいるし、さらに文章の綾を加えて仕上げるのが巧妙だ。綾にもムダが少い。漫画というものが、本来ムダがないせいかね。
横山兄弟も、うまい。弟の方は文士の探訪記に同行して挿絵をかいてるが、彼自身が絵も文章も書いた探訪記は文士以下ではないのである。兄貴の方は今日出海の「山中放浪」をそっくり借用して、人物を実名に書きかえて、自分の比島従軍記をこしらえあげてしまったが、まったくこの先生は珍法を編みだす名人である。しかし巧みなものです。