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ぎじゅつへいくもんだい

技術へ行く問題

戸坂 潤

「都新聞」1941(昭和16)年7月4日号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 3,124 字 · 7 页

青空文庫

科学とは、それでは、実は物を造るのを窮極目標とするのではなかったのか。

キュリの女婿ジョリオ夫妻が人工放射能の発見に成功したのも暗示的だ。こうやって新しい方法で元素が人工的に転換=即ち製造されて行くのだろう。そう思いながら、バルザックの『絶対の探究』を読んで見ると、わがバルタザル氏は、要するに炭素から金剛石を製造出来れば、絶対はつかまえたことになると信じている。化学は絶対「真理」を目標とするよりも寧ろ金剛石や金の製造生産を目標とする。そのための絶対探究だ。私は錬金術の新しい意味を発見したような気持ちである。

こういうわけで、この頃私は、科学の目標とは何か、ということを問題にし始めた。科学が他のものの手段になるという意味では決してないが、色々の公認された手段を用いて科学が到達して之で一まず解決、と思える頂点は何か、と考える。それはやはりどうも、問題になっている一定の物を造ることのようだ。

バルタザルは実験室を留守にしている間に金剛石が出来て了ったので、金剛石の成立のプロセスが判らなくて、遂に絶対を征服出来ずに没落するのだが、出来るプロセスが判れば、それが本当に製造出来たということである。