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しょうきょく
「探偵クラブ」傑作選 幻の探偵雑誌8
橋本 五郎
橋本五郎『「探偵クラブ」傑作選 幻の探偵雑誌8』。同一底本的分册已合并为一书。收入:小曲、殺人迷路。
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 5,896 字 · 12 页
出来ない理屈ではないではないか――
田中君はそれから三時間ばかり、門内に立って向いの家をにらみつづけていた。田中君はその恐ろしい感情で、自分が三時間ものながい間、庭に立ちつくしていることをすっかり失念していたのである。
が三時間たって、田中君は馬鹿々々しいこの物語の結末に逢着した。
二人の、半纏着の人間が、その門の前までやって来て、行くのか帰るのか、例の轍の穴を指しながら大声に話したには――
「こん畜生だよ、あの暴のもう十一時過ぎていたナ、ここまで来るとこの穴ん中へ落ちこんで、馬のやつがどうしても動かねえ。呶鳴りつけたってどうしたって、仕方がねえから可哀想だが縄っ端でビシビシ打っ叩いてやったんだが、引っぱたく度に鳴きやあがって、そしてよろけるもんだから、このお屋敷の塀に打つかって、おら、塀を壊しやしねえかと思ってね……」
田中君は、二人の半纏が立ち去ってから、こっそりと門を出てその穴を見に行った。たしかに馬力の落ち込んだ穴であった。
(「探偵クラブ」一九三二年十二月)