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たんていしょうせつとは

探偵小説とは

坂口 安吾

「明暗 第二号」九十九書房、1948(昭和23)年2月20日

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 2,747 字 · 6 页

青空文庫

なぜなら、彼らは大概、碁か将棋かが好きであるが、推理小説は、碁や将棋よりも軽快で複雑なゲームの妙味があるからである。藤沢桓夫氏など詰将棋に工夫を凝らすぐらいなら、大いに推理小説に工夫を凝らして貰いたいと私は思う。

★

推理小説は職業化するとダメになり易い性質のものであるから、年来の愛好家が、愛好のあげくに、新工夫を凝らして戯作するにふさわしいものだ。探偵作家は、たいがいモトをただせば愛好のあげくの余技から始まるものであるが、名作を発表する、次々と多作を強いられて、職業作家となると、マンネリズムにおちいって、駄作を濫発するようになる。

多作して駄作を作らぬ方法として、私は探偵作家に合作をすすめたい。

外国には二人、三人合作して一人名前の探偵作家はかなり存在するのであるが、日本にはまだ現れないようである。

推理小説ぐらい、合作に適したものはないのである。なぜなら、根がパズルであるから、三人よれば文殊の智恵という奴で、一人だと視角が限定されるのを、合作では、それが防げる。智恵を持ち寄ってパズルの高層建築を骨組堅く組み上げて行く。

十人二十人となっては船頭多くして船山に登る、という怖れになるが、五人ぐらいまでの合作は巧く行くと私は思う。