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たんていしょうせつのなぞ
探偵小説の「謎」
江戸川 乱歩
1 奇矯な着想「オール読物」文藝春秋、1954(昭和29)年10月号<br>2 意外な犯人「週刊朝日 推理小説特集号」朝日新聞社、1955(昭和30)年10月10日<br>3 兇器としての氷「犯罪学雑誌」日本犯罪学会、1952(昭和27)年3月復刊号<br>4 異様な兇器「読切小説集」テラス社、1953(昭和28)年11月増刊<br>6 隠し方のトリック「探偵倶楽部」共栄社、1953(昭和28)年8月号<br>7 プロバビリティーの犯罪「犯罪学雑誌」日本犯罪学会、1954(昭和29)年2月号<br>8 顔のない死体「探偵倶楽部」共栄社、1952(昭和27)年5月号<br>9 変身願望「探偵倶楽部」共栄社、1953(昭和28)年2月特大号<br>10 異様な犯罪動機「宝石」岩谷書店、1950(昭和25)年8―11月号<br>11 探偵小説に現われた犯罪心理「文化人の科学」、1947(昭和22)年3月号<br>12 暗号記法の種類「宝石」、1953(昭和28)年9・10月号「類別トリック集成」の一部<br>13 魔術と探偵小説「新青年」、1946(昭和21)年10月号<br>14 明治の指紋小説「宝石」、1950(昭和25)年12月号<br>15 原始法医学書と探偵小説「自警」、1951(昭和26)年9月号<br>16 スリルの説「ぷろふいる」、1935(昭和10)年12月号<br>「類別トリック集成」目次「続幻影城」早川書房、1954(昭和29)年6月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 119,820 字 · 235 页
是があれば犯罪者解ります。(註、原文のまま。いくら日本語が達者でも、外国人のことだから、てにをはが抜けたりするのである。当時の速記はなかなか忠実であった)。私、四、五年前世界一周いたしましたる時、支那日本という国に暫時滞在いたしました。此の両国に於ては英国と違いまして、証文を認めまする時に必ず印形と云う物を用いまする事になって居りまして、柘植或は金銀等へ自分の姓名を彫付け、是を肉にて姓名の下へ捺しますけれども、時といたして印形を用いず、只親指に墨を塗り姓名の下に押す、即ち拇印爪印とも申ます、平常実印を用いても、極八釜しい事、即ち調べを受けて証拠でも取られるというような時に至って、必ず拇印をいたしますが、支那国に於ては、人が兵隊になる時、手一面に墨を塗り、兵隊になったという受書の下に手を捺させ、若し兵隊逃亡することがあれば、其手形を以て在所を探ねるが、何うして斯様のような不思議の事あるか、拇印ならば誰が捺したのか一向証拠にならん、兵隊に手の形を受書の下に捺させても、どうして是が当人逃げたる際在所を探ねる助けになるか、其原因を段々探って見ますると、極く昔からあります風習で御座いますが、人間の手の筋、皮膚の模様(註、これが隆線に当る)人毎に変りやする(註、「何々しやする」